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熊野古道の代名詞とも言える石畳ですが、なぜ石畳が作られたのでしょう?実際に見れば分かるように、石畳を作るのは非常に大変な仕事です。山の斜面に石の道を作るのですから。
それでもなお、石畳を作らなければならない理由があったはずです。 |
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豪雨から道を守る |
東紀州地域は、全国でも有数の多雨地帯。季節によっては激しい雨が降ります。
土の道では、その雨によって土砂が流され、道が崩れてしまいます。それを防ぐために石畳が設置されたと考えられます。石と石の隙間がほとんどないように敷き詰められているのは、道としての強度を重視したからに他なりません。
もちろん、一度石畳を敷いたらそれが永久にもつわけではありません。昭和初期頃までは生活道として利用されていたことから、崩れるたびに修復されていたようです。修復の年代の違いも、石畳の工法の違いにつながっているのかもしれません。 |
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傾斜を緩やかにする |
熊野古道は、いくつもの峠を越える厳しい道です。その傾斜も、きついところではかなりのものです。その傾斜を少しでも緩くするために、石畳道が作られたと考えられます。石畳道は、深いところでは数メートルも掘って床面を作り(「堀割」と呼ばれます)、傾斜が緩くなるように石畳が敷かれたようです。
また、昔は駕籠で峠を行き来する人もあったため、傾斜がきつくては駕籠が通れなかったのです。
ひとつの証拠として、峠の中で平らな部分には石畳は敷かれていません。そういった箇所には、谷側に石垣を積んで路肩を補強する程度となっています。 |
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道の確保 |
温暖な気候であることから、土の道では人の行き来が少ないと草が茂ってしまう可能性があります。石畳を敷いておけば草が生える余地はなくなり、少々人通りが途絶えても道が草に覆われることはなくなります。
石と石の隙間がほとんどないように敷かれているのは、強度の点とあわせてこの点も考えられているのでしょう。 |
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地面を掘って敷かれている |
熊野古道を歩いてみると、周りの斜面よりも道路部分が低くなっています。極端なところでは、数メートルも低い位置に道があります。このことから、道に沿ってある程度の深さの溝を掘り、基礎を固めた上に、適した(平らな面がある)石を選んで敷いていったと考えられています。
もちろん、斜面とほとんど同じ高さの道もあり、階段状の所もあります。そのように工法は場所によって異なりますが、ある程度溝を掘って、床面を固めて石を敷くという基本的な作りはおおむね同じと考えられます。 |
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下から順番に |
このように石畳には階段状の部分や階段状でない部分など様々な形状があります。その形状の違いは作られた土地と時代によると思われれます。
階段状でない石畳道では、斜面に沿って石が敷き詰められていると言ったほうが正確なくらいです。上の石が下の石よりも少しずつ高くなるように設置されており、上の石が下の石に少し重なっているところが多いです。このことから、石を敷くにあたって下から順番に石を敷いていったことがわかります。
また、石と石の隙間がなるべく無くなるように敷き詰められています。これによって、十分な強度が保たれています。 |
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石はどこから? |
石畳に使われた石は、ほぼすべて現地調達されたと考えられています。一般に使われているのは熊野酸性岩類(黒雲母花崗岩)で、東紀州地域の山地でごく普通に見られます。おそらく、街道の近辺に転がっていた適当な石を持ってきて使ったのでしょう。
現在でも、道沿いには石はほとんど見られませんが、道から数十メートル山の中へ入っていくと石が転がっていると言います。街道からなるべく近いところにある材料を使ったのでしょう。 |
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石畳の工法 |
馬越峠の石畳整備作業に立ち会った人の話などをもとに作った、想像図です。参考までに。
また、すべての石畳がこの方法であるとは限りません。 |
斜線部分は山の地面です。
今から、この傾斜部分に石畳を作ります。 |
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まず、地面を数十センチメートルから数メートル掘ります。(点線部分はもとの地面です。) |
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掘ったところに、床面(基礎)になる石を並べていきます。 |
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石の上に土などを敷いて隙間を埋め、基礎を固めます。 |
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基礎の上に、平らな石を並べていきます。下の石に上の石が少し重なるように、下から順番に並べていきます。
石畳面は、もとの地面より少し低くなっています。 |
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石畳が作られた時代は、分かっていません。街道整備が本格的に行われたのは17世紀前半ですが、そのときには既に石畳があったと言われます。
もっとも、石畳道は敷設された後も何度か補修が行われており、現在も補修が続けられています。現在では昔のような技術がないため、以前のままに復元するというわけにはいきませんが。
石畳が場所によって異なるのも、地域における技術の差か時代による技術の差かよく分かっていません。 |
熊野古道には、出水を山側から谷川に流す排水路が、道を横切るようにつけられています。
これは「洗い越し」と呼ばれる工法で、石畳道に限らず熊野古道全体で共通して見ることができます。ひとつひとつは小さいのですが数は多く、古道を歩いていると頻繁に見かけます。
古道が長い間使われなかったために、多くのものは土で埋まっていたようですが、近年の整備で再び姿を現しました。 |
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