盛んになった「熊野詣」には、いろいろな地方からのルートができました。地図にあるとおり、大きく分けると6つのルート(紀伊路・大辺路・中辺路・小辺路・大峯道・伊勢路)があります。
その中でも人気があったのが、伊勢神宮から熊野三山を目指す「伊勢路」です。
紀伊半島の西側を通る「紀伊路」が法皇や上皇らの御幸ルートであったのに対し、「伊勢路」は庶民の道。お伊勢参りを終えた旅人や西国三十三カ所めぐりの巡礼者たちが通りました。
熊野古道は、各地から様々な思いを抱えながら熊野を目指して人々が歩いた巡礼の道です。熊野古道、熊野街道などの呼び方がありますが、世界遺産登録された名称は「熊野参詣道」です。
熊野三山・高野山・吉野大峯といった霊場と、そこへ至るための広範囲に及ぶ参詣道、そこを歩いた巡礼者たちを受け容れてきた地域が、今もなお紀伊半島の広い範囲に残っているのです。 |