熊野古道に対する思い |
●得意な分野は泊観音ということですが?
観音道は、子どもの頃の遊び場で、自分にとっては庭みたいなもの。だから道に関する思い出もたくさんあって、自分しか話せない思い出話が話せます。観音道は信仰の道で太地などからも人が来ていたことなど、道に関するいろんな情報を知っています。 |
●お客さんに何を伝えたいですか?
観音道は、昔から観音信仰として歩かれてきた祈りの道。いろんな人がいろんな思いを抱いて歩いてきた道、先人達が祈りながら歩いてきた道である、ということを分かってもらいたいですね。 |
そして、33体ある観音様の姿・形・表情を、1つ1つじっくりと味わって見てもらいたいと思います。観音道にある観音様は、どれも優しい穏やかな表情をしていますよ。
その辺りをより理解してもらうために、七観音とは何かとか、観音道にある33体の観音様の配置図などを説明用に作っています。そういった資料を見てもらうことで、お客さんにもよく分かってもらえると思っています。
最近、バスツアーなどで来る人たちは、波田須から登って、観音様を見ながら下ってくるだけということが多いのですが、それではこの観音道の良さはわからないと思います。大泊のほうから、観音様を拝みながら上り坂を歩いて、苦労してやっと観音堂に到着する、それでようやく祈りの道としての観音道を歩いたことになると思います。 |
これが向井さん製作の泊観音イラストマップ。どこに何番観音があって、それが何寺に該当するかが書かれていて、とてもわかりやすいです。 |
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●これから熊野古道にどう関わっていきますか?
世界遺産登録もあり、たくさんの人に来て欲しいという気持ちはあります。その一方で石畳は守りたいし、保全は1つの大きな課題ですね。
自分としてはこれまでどおり、自分が楽しみながら自然体で活動を続けていきたいと思います。世界遺産登録されたから張り切るのではなく、これまでどおりの活動を続けて、道を守りながらその良さを伝えていきたいと思います。でも、これが義務として押しつけられると、やる気がなくなっていきます。あくまで自分のやりたい範囲、出来る範囲でやっていきたいですね。
また、今の古道客はゴミを捨てる人はほとんどいないなど、マナーが大変良いですね。これから来てもらうお客さんにも、マナーの良さを期待したいと思います。
それから観音道について言えば、今にも崩れ落ちそうな観音堂を見ると時の流れを感じます。
(2004年6月 熊野市にてインタビュー) |