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2005/06/13
通り峠と丸山千枚田
(
熊野市(旧熊野市、旧紀和町) ) |
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6月13日午後、念願の「通り峠から丸山千枚田を見下ろす」企画を果たした。実は7?8年前に団体で行ったことがあるのだが、よく覚えていないのだ。電話で友人に熊野古道の話を聞き「熊の小道?獣道なの?」と思って出かけた気がする。丸山千枚田のことを何も知らずに小雨の中を歩いて「千枚田が見えます」とその場で言われ、みんなが細い道を譲り合って交替で見たのだが、その季節さえも思い出せない。転ばないように足元ばかり見ていた。その後、田んぼのあぜ道を通って千枚田を間近に見る機会があり、その素晴らしさに感動した。以来、峠からのおぼろげな記憶を、鮮明にしたいと思っていたのだ。
国道42号線から県道311号線に入り、案内にしたがって通り峠の登り口に向かう。きれいなトイレが整備されており、駐車場ではなさそうだが少々広くなっていたので、ここに車を停めた。
登り始めからすぐ素晴らしい苔むした石畳だ。まっすぐ空に向かって伸びたすがすがしい木立と石畳の、こんな素晴らしい風景を記憶していないとは、いったい私は何を見ていたのだろう?
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木の根元に数センチの白い泡のかたまりがたくさん見える。カエルの卵かと思ったが、アワフキムシという虫が泡の中にいるとのことで、見せてもらった。写真はピントが合わずにボケてしまったが、確かに虫がいる。あとで調べてみると泡の中にいるのは幼虫で、セミに似ていると書いてあったが、私にはクモに似ているように見えた。
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細く長く続く石畳を歩き続ける。木の橋が2つかけてあるところがある。雨が降るとこの下に水が流れるのだろうか。
大きな石の祠には、子安地蔵が祀られていた。ガイドブックには楽なコースのように書いてあるものもあるが、普段運動をしていない私には、けっこうキツイ登りだった。幸い、少人数で出かけたので、後ろから追われるわけでもなく、前の人に必死についていく必要もない。息はあがるが、ゆっくり観賞しながら歩くことができたので、今回は記憶を失くさずにすみそうだ。
途中、東屋があった。少し迷ったが「疲れが吹き飛ぶ絶景ポイント」と言われる展望所まで、このままマイペースで歩き続けることにした。この東屋から登りがさらにキツクなったようだ。「あともう少し」の声に促されながら、少しずつ登っていく。見上げると我々以外にも上を目指して登っていく姿が見えた。勇気がわいてきた。一人の人に追いついたので声をかけてみると、なんと島根県から千枚田と夕焼けの写真を撮りに来たと言う。しかも10日ほど前にも来たとのこと。
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いよいよ絶景ポイントだ。記憶が蘇ってきた。確かにここだ。ここで体を斜めにして擦れ違いながら、みんなで交替して千枚田を見た。今回はしっかりと記憶していこう。天気はいいが、少しかすんでいるようだ。しかし美しい。大きな田んぼ、小さな田んぼ、稲の成長が進んでいる田んぼ、まだまだの田んぼ、いろいろだ。いろいろが折り重なって、1つの風景となっている。そんな当たり前のことを、しみじみ思いながら眺める。棚田の守り神のように「でんっ」と座る大岩も凛々しい。絶景ポイントには、新聞で千枚田の写真を見て、実物を見るために東京からやってきたという女性がいた。3脚が2つセットされている。先ほど話を聞いた方が、夫婦で今から日が落ちるのを待つという。丸山千枚田の魅力にとりつかれた人は、田植えや稲刈りの様子はもちろん、夕陽が水面に照り返す様子、晴天に輝く様子、小雨や霧に煙る様子、草刈の様子、風になびく稲穂、あぜ道の彼岸花、何度でも通い詰めると聞いたことがある。この風景にはそれだけの魅力がある。いつまででもこの場にいたい気もしたが、そうもいかない。「良い写真が撮れますように、事故のないように」と声をかけて別れた。
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こんなに素晴らしい風景を見ることができ、風情のあるこの通り峠は、世界遺産には登録されていない。この峠は熊野三山に向かう参詣道ではなく、吉野に抜ける道なので「紀伊山地の霊場と参詣道」ではない、ということだそうだ。確かにその通りだが、なんとももったいない気がした。
ちょっともどかしい思いを残しながら、今度は下っていく。道路に出る直前に思い出した。以前はこちらから登ってきたのだ。千枚田を見ることだけが目的なら、こちらからの方が短時間で登ることができる。しかし、石畳を歩いても一時間程度だ。何度も来ることが難しいなら、ぜひとも歩いて欲しい。道路に出て、今歩いてきた峠道を見上げると、すばらしい石垣の上にその道はあった。その石垣を眺めながら車を停めたトイレに向かった。
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途中、千枚田を見下ろすポイントがある。峠の展望所より千枚田が近くに見える。田んぼの中を歩きたかったが、時間の都合上、今回はあきらめて帰った。次回は、千枚田の中を通って一帯をグルリと回る、2時間半の「丸山千枚田散策コース」を歩いてみたい。
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場所 |
紀和町 通り峠 |
交通 |
熊野市駅からバス。千枚田・通り峠口(本数は少ない。ダイヤ要注意) |
駐車場 |
バス停に数台分のスペースあり。 |
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