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2003/10/29
丸山千枚田
(
熊野市(旧熊野市、旧紀和町) ) |
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県道とはいえ、紀伊の山間は車一台通るのがやっとという細い道が続く。対向車の存在に怯えながら、そろそろと車を走らせていると、突然ぱぁっと視界が開けて眼下に「丸山千枚田」が広がった。雑誌で田舎暮らしが特集されるこの頃では、よく「古き良き日本の情景」なんて見出しが躍ってるけど、私自身はそんな「古き良き」所から縁遠い場所で育った世代。どんな情景が「古き良き」なのか、想像を膨らますしかないのだけど、この丸山千枚田の棚田を目にした途端、昔話の世界のイメージをそっくりそのまま再現されたような感覚になって、ワクワクする気持ちを抑えられず、そそくさと車をおりて辺りを歩きだした。
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この棚田の歴史は古く、400年前には既に2,200枚以上の水田があったのだとか。一時は国の減反政策や過疎化などでその数は減少したものの、10年ほど前から一田ごとにオーナーを募集するなどの保存活動が積極的に行われ、今では多くが復田し、高低差約100メートルの傾斜地に1,300以上もの水田が独特の景観を作り出している。流行りの「100選モノ」では「日本の棚田100選」のひとつでもある。
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実際に千枚田を歩いてみると、一田一田が丁寧に手入れされ、オーナー達の手作りだろうか、ハリーポッターやドラえもんといったユニークなかかし達が出迎えてくれた。田んぼの間をさらさらと小川が流れ、水車がまわり、否応でも「昔話の世界」に迷い込んだ気分が盛り上がる。ホントにきつねや狸のばかしあいを村のじいさん、ばあさんが笑って聞いていてもおかしくないような、そんなのどかな景色なのだ。私がこの千枚田を訪れたのは10月中旬。稲刈りも終わって、言ってみれば一年の仕事を終えた田んぼも一息ついた頃なのだろうけど、四季の棚田の表情を思い浮かべながら歩くのもまた楽しかった。田植えの後、水をはってキラキラ光る春、緑のじゅうたんの夏。赤い彼岸花が黄金色の稲穂をふちどる秋。冬には雪が積もって辺り一面銀世界・・・。どこを切り取っても絵になる情景を見に、足しげく通いたくなってしまう。
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丸山千枚田は中央を走る道路を車で通り抜けることもできるけれど、やはり自分の足で歩いてみるのがオススメ。棚田の四季を想像したり、昔、この棚田を作った人々に思いをはせながら、歩いては立ち止まり、進んでは振り返って、美しい棚田を見上げたり、見下ろしたりしながらゆっくり、じっくり「古き良き」の世界で道草を楽しもう。周辺には熊野古道の「通り峠」や「丸山千枚田オートキャンプ場」もあり、紀伊の隠れた山里散策のベースになる素敵な場所だ。
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場所 |
丸山千枚田 |
交通 |
熊野市から車で約40分 |
駐車場 |
見はらし台あり |
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