1月11日午後2時より、紀北町紀伊長島区の長島神社において、弓の祷(とう)が行われました。 弓の祷(とう)は、昨年度中に凶事の無かった漁業者の家族から“親と子”と呼ばれる少年各2名が選ばれ、神社境内に設けられた2畳ほどの「的」に向って矢を射る神事。 射手を祷人(とうじん)と呼び、祷人は、親と呼ばれる役が二人、子と呼ばれる役が二人、一度選ばれると、その家に不幸が起きない限り3年間続けることになっている。祷人(とうじん)は、1月8日より11日まで、神社の参籠殿(さんろうでん)に寝泊りして「的」を射る練習をし、当日は神社で御祓いを受けてから神事に臨む。 11日当日、境内には的がつくられ、また祷人の位置する後方には台がすえられ、その上に宝舟が乗せられる。宝船には、ブリとモブシの頭部に梅の小枝を差したものが飾られている。 四人の少年祷人は、黒衣に裃をつけ、大刀を佩(は)いた凛々しいいでたちで、親、子とも12本ずつの矢を的にむかって放つ。 最後に(わざと)矢を大きく的から外すと、待ってましたとばかりに、見物の群衆は杉皮で作られた的にむかって殺到し、その一片を奪い合う。 同町の西長島地区ではこれを戸口に差しておくと、大漁を招くと言われている。 弓神事は、正月を終え、これから1年間の生産労働に入るにあたり、神々に代表される自然に対し、謙虚にその年の豊年であることを祈願する庶民の行事。 西長島の弓神事を、土地の人々は「弓の祷」と呼び何百年来大事に伝えてきた理由はそこにある。 「三重歳時記1980年」参照
動画のURL:http://www.kumadoco.net/movie/detail.cgi?no=217
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小学生や外国人漁業研修者ら多くの人が神事を見守った。 |
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最後の矢が放たれると、観衆は一斉に的に駆け寄って、杉の皮を奪い合う。 |
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宝船には、ブリとモブシの頭部に梅の小枝を差したものが飾られている。 |
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