3月4日(土)尾鷲市中央公民館で、古道歴史学校「熊野道中記の世界」と題して、講演と座談会が行なわれた。主催の「NPO紀北くまの道」が、地域の人々に熊野古道周辺の歴史や民俗に興味を持ってもらうことを目的に市民講座として開催。また「NPO熊野古道自然・歴史・文化ネットワーク」の設立記念としても位置づけられており、理事長の花尻薫氏のあいさつから始まった。 第1部は川端守氏(NPO紀北くまの道理事長)の講演。三重県から委託を受けて、この一年「熊野道中記」を募集してきた。また、会では県内はもとより全国の図書館・歴史資料館のなどを訪ねて「熊野道中記」を探す旅もしてきた。しかし、「熊野道中記」という名のものはほとんど存在せず、伊勢参宮道中記や西国道中記の中に、ごくわずかに記載されている関連事項を収集する作業となった。その際に、資料の1つ1つに閲覧願や複写願などの書類を記入・提出し、デジカメやマイクロフィルムの扱い「会の若手」に作業を託し、資料集めに奔走したハードな旅のエピソードも紹介された。苦労の末、集められた資料は、3月末までに熊野古道センターに納められることになっている。また、旅での苦労を思い「貴重な資料ではあるけれど、なるべく利用しやすい形で」と管理もお願いしたとのこと。 集められた資料(古文書)のいくつかを例に挙げ、「何が書かれているのか」はもちろんだが、「なぜ、この裕福でうら若き女性たちが熊野に旅に?」「下手な歌だが、気持ちがこもっている!」など、川端氏の軽快な語り口調で「古文書をひも解く楽しさ」とともに紹介。 第2部は、実際に道中記を読んでみる形での座談会。実はこの2部は希望者のみの参加になっており、受付時にチェックする形になっていたが、1部の講演で興味を刺激されたのか、ほとんどの参加者がそのまま残った。参加者たちは班に分かれ、自分の住んでいるところが記載されている部分について、想像力も駆使しながら道中記を読んでいく。わからない文字などは、古文書の会のメンバーたちがテーブルを回りながら解説していく。短い時間だが、昔にタイムスリップして当時の旅の様子を想像してみた。 硬そうなイメージの古文書が題材ながら、笑いの絶えないひとときを楽しんだ。
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NPO熊野古道自然・歴史・文化ネットワーク理事長の花尻氏 |
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会場いっぱいの人が道中記の世界に引き込まれていった |
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