2月24日(金)紀北町東長島公民館で、日本児童文学者協会会員でみえ熊野学研究会委員長でもある小倉肇氏が「人はなぜ熊野にあこがれるのか〜熊野古道の歴史と文化〜」と題して講演をおこなった。 世界遺産として指定され、脚光を浴びてきた熊野古道。地元では「なぜこんな石の道や山道が…」と見慣れた風景や遠い昔の記憶にしか残っていない道が、姫路城や屋久島、厳島神社と並ぶものとは考えられなかったという。調査や保護・保全に関する諸々の事をきっかけに地域の人が地域のことをあらためて知り、価値を見出して誇りに思うようになり、現在に至っている。この「ただの石の道」「ただの山道」と思われがちな熊野古道が世界遺産に登録された理由は?貴族の反映に陰りが見え、武士が力を持ち始めた平安末期、上皇・法皇が繰り返し、伊勢ではなく熊野を訪れているのはなぜなのか?天皇はなぜ熊野を参らないのか?講と巡礼の違いは?神と仏の性質を併せ持ち、差別することなくすべての人を救った熊野信仰とは?など、熊野・熊野古道の歴史と文化について、わかりやすく講演した。 「人間にはたくさんの罪や煩悩がありますが、紀路を通って王子で祈るたびに1つずつ煩悩や罪が減り、熊野三山に額づくとすべてが取り去られ、救われて真っ白に生まれ変わるんです。でも帰ると不安になってまた熊野に参る。そんなことを繰り返していたんですね。よほど罪深い業の深い人だったんですね。あとで調べてみると、ずいぶんたくさんの女性と関係があったようで恋人が次々変わっているんです。」など、歴史の勉強では学べない興味深い話も紹介した。 今回の講座は「みえ熊野学研究会」主催で、20日から24日まで「巡回講座ウィーク」と称して東紀州5市町を文字通り巡回して講座を実施してきた最終回にあたる。
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