2月7日(火)、野田地の山の神神事に合わせて「早春のやのはま道ウォーク」が開催された。町中の史跡を巡りながら平坦な熊野古道をゆっくり歩く「やのはま道散策コース」と、八鬼山麓の史跡巡りと自然観察を兼ねた健脚向けの「川の流れと八鬼山麓の史跡探訪コース」の2コースが用意され、語り部だまり部矢浜街道町おこし実行委員会のメンバーの解説で散策した。 「やのはま道散策コース」では、「むさしや遺跡」から出土した縄文土器や、手厚く守られている街道沿いの庚申堂を見学。細い路地を入り、民家に残る「雁木(がんぎ)」「灰釜」「巽(たつみ=易の八卦(はつけ)の一つで、辰と巳(み)との中間の方角。南東。)井戸」なども見学。道路や駅が整備され、企業進出などで周辺は開発されたため古道は残念ながら寸断されているが、実行委員会が設定した周遊コースを散策。途中、山の神の準備で道具を作成しているところを見学。大工さんが多いこの地区では立派な大工道具を持ち寄り、斧・鎌・鍬などの道具と男根を作り、酒や餅などとともに神様にお供えする。 一行は散策しながら「山の神」が祀られている山のふもとに到着。ここで2つのコースの参加者が合流。地域の男性たちが細い路地を通り、山の上まで供物を運ぶ。「山の神」は女性の神様で、他の女性が関わると「やきもちを焼く=機嫌を損ねる」とされている。そのため女人禁制とされ、神事はもちろん道具作りやそれらの運び込みも、すべて男性によって行われる。この日は男性カメラマンたちも手伝って荷物を山の上まで運んだ。ウォーク参加者は後に続き、女性たちは鳥居の手前から見学。もちろんたくさんの男性の後姿が見えるだけで神事の様子が見えるわけではないが、「ワーッハッハッハ!」と笑う声を近くで聞いて、昔から続く行事を見守った。 矢浜公民館まで歩いて戻ると、暖かいアオサ汁・おにぎり・ワラジ揚げ(オキギスのすり身の天ぷら・おはぎなどが配られ、その場でサザエ・イカ・アジ・ショウワダイ・ハギなどの海産物を焼いて、焼きたてが振る舞われた。参加費100円でこの振る舞い。地元では「公的機関からの助成を活用している。過疎が進む地域でなかなか他(の地域)から(人は)来てもらえない。このような企画で、まず1回、この地域を訪れるきっかけになれば。気に入ってもらってまた訪れてくれると嬉しい。そして地域が少しでも活性化すれば…。」としている。参加者からは「こんな企画なら、絶対また来る!」と喜びの声が聞かれた。 尾鷲市矢浜野田地の山の神
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自慢のノコギリやノミを駆使して、次々と道具が出来上がる |
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