15日(日)、紀南ツアーデザインセンター企画のエコツアー「鳥たちの住み処へ」が熊野市の二木島港・甫母峠で行なわれた。講師は二木島生まれ・二木島育ちのネイチャーガイド、竹内捷二さん。幼少の頃からメジロ獲りに興じ、小学生の頃、地元の古老に弟子入りしてメジロ獲り名人となった竹内さんの語る、鳥と人・自然と人との暮らしについての話を聞きながら、鳥を観察し、鳥の声に耳を傾けるツアー。 まず、二木島港でカモメ類の観察。竹内さんの用意してくれた資料で予習をしてから実物を見た。この日は残念ながら前日の天候不良でサンマ漁がなかったので、サンマ船に群がるカモメを観察することはできなかったが、姿かたちの特徴や餌の獲り方など、竹内さんの観察エピソードを加えながら説明してもらい、双眼鏡などで確認した。竹内さんは鳥たちのことを「彼ら」と呼び、鳥たちの様子を「恥ずかしそうに」「あわてて」など人間に対する表現と同じような表現を使う。竹内さんの鳥に対する思い、親しみや敬意を感じる。 その後、甫母峠に移動。車を停めた位置から登り口までの間も、もちろん観察しながら移動する。港で説明と受けたようにユリカモメのダイビングや、それを見て真似たといわれるウミネコのダイビングも確認できた。民家の間を通り、登り口に向かう途中に水路があり、ここにキセキレイがいた。尾っぽをフリフリするかわいい仕草を存分に見せてくれた。 峠はけっこうな上りで熊野古道の石畳を思わせる石の階段もある。暖かいこの日は少し歩くと汗が出る。途中、鳥の気配があると立ち止まって竹内さんの説明を聞き、鳥の気配や声に耳を傾ける。 峠まで汗をかきながら息を切らせてがんばって上り、昼食後、竹内さんがメジロ獲りに夢中だった頃の話を聞いた。穏やかな表情で穏やかな口調で話す竹内さんの話には、けっして派手さはないが引き込まれてしまい、いつの間にか優しい気持ちになれる。さすがに野鳥の姿はなかなか確認することができなかった。こちらは20名近くで歩いているのだから、鳥たちは警戒していたのだろう。しかし声は聞こえた。一瞬だけや、少し遠いところでは確認できた鳥もいた。 バードウォッチングというとマニアックなイメージを持っていたが、鳥には詳しくない参加者にもわかりやすく話をしてくれたおかげで楽しい1日を過ごすことができた。もちろん鳥に対する新しい発見もあった。「図鑑に丸を振っても忘れてしまうようなツアーはしたくない」と話していた竹内さんならではの、暖かで親しみやすいツアーだった。
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