15日(火)、紀南ツアーデザインセンター企画の「第2回『モミ、ツガ、トガサワラの森を歩く』」が開催された。この企画は10月1日も開催されたが、大変な人気ですぐに定員に達したため、第1回開催前から第二段企画を切望する声の多かったものだ。 一般道ではなく元営林署管轄の荒れた作業用林道を分け入るため、「一般の乗用車では底を擦ります。軽トラックなど悪路走行に強い車で」と注意されていたこともあり、軽トラックで参加する人がほとんど。また「道のない森の急斜面を歩く」ともあったので、ハイキングではなく「山仕事」スタイルに近い格好で参加。熊野市在住の竹平巨嗣氏(元営林署農林水産事務官)をガイドに、軽トラック軍団は出発した。 林道を走り、江戸時代文政のころに植林された樹齢約180年の杉が残る「文政杉保護林」、樹齢約200年のモミやツガが残る天然林「モミ・ツガ植物群落保護林」を見学。人間より遥かに長い年月を生き抜いた巨木は、清々しく凛として立っていた。タイプの異なる保護林が隣接するようにあり、竹平氏が「このような天然林の木を1本1本切り倒し、さらに植林してきた」という説明がよく理解できる。 「東洋一」といわれるトガサワラの倒木を見るために、「道なき道」を徒歩で移動する。最初は歩きやすいが、そのうち立ち木を頼り、手をついてよじ登ったり這うように進むところが出てくる。手がかりがなく、前を行く人たちが踏み固めてくれた跡を追い、足をかけたり手をつく位置をアドバイスしてもらいながら進むところもあった。そうやって必死についていった先に、突然その倒木は姿を現した。ひと目で「今までに見たことがない大きさ」とわかる。胴回り約6m、直径は2mの山のような倒木によじ登った。その高さにすぐ手をついて四つん這いになって進んだが、ありがたい神様にお参りできたような気がした。記念撮影をして来た道を戻る。 降りてきてから再び車で林道を走りトロッコ道を抜け、五郷小学校分教場跡へ移動。階段や石垣が残り、平らな空間で説明を受ける。この学校が閉鎖されたときの頃を覚えている参加者もあり、そう遠い昔のことでもない林業の最盛期の様子に思いを馳せた。 乗用車では行けない荒れた林道を走り、ガイドなしでは行けない「道なき道」を歩いたが、誰も怪我することなくツアーは終了した。充実した内容に、参加者は満足して解散した。 紀南ツアーデザインセンター 第1回の様子(紀南ツアーデザインセンター)
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「東洋一」のトガサワラの倒木(写真提供:紀南ツアーデザインセンター) |
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五郷小学校分教場跡。平らなところに校舎や診療所があった。 |
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