8月6日(土)、熊野市で第3期東紀州活性化大学院の勉強会が開催された。「東紀州に残る古き良きもの〜その発見と保全〜」をテーマに、7名の院生がそれぞれの地域でテーマに沿った対象を設定し、調査・研究してレポートをまとめる。 今回は第6回目の現地調査で、対象は五郷町に残る「石積み」。寺谷地区の「寺谷御仕入方(おしいれがた=役所の一つ)質倉」を支える石垣と倉を見学した。この倉は江戸時代(200年余り前)に建てられたとされており、熊野市指定文化財となっている。質倉を支える石垣は、自然の石を削るなどして積み上げられており、当然ながら現代の構築物にあるような接着・補強を目的としたセメントなどの材料は一切使用されていない。石の大きさ・形はさまざまだが面(つら=表面)がきれいに揃い、特に敷地の四隅はお城の城壁のように美しいカーブを描いている。幾多の災害にも崩れることなく、今も重厚な倉を支えている。 現地視察後、飛鳥町の公民館に場所を移し、よく使用されているコンクリート擁壁やブロック・最近主流となりつつある環境に配慮した「環境ブロック」などの特徴と合わせて、石積みの長所・短所が紹介された。石積みは専門の職人を必要とするが、その職人の著しい高齢化と減少、現存する石積みと建造物の維持管理、集落としての景観など、話し合われた内容は多岐にわたる。これらを考慮しつつ今後も調査・検討を続け、レポートにまとめられる。
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