7月28日(木)台風一過の晴天の下、海山町小山浦の小山ハウスが企画するシーカヤック体験ツアーが行なわれた。この体験ツアーは半日ツアー・1日ツアー・お好みツアーなどがあるが、今回は1日ツアーだ。小山ハウスでは日程を決めて募集するというより、「○月○日、シーカヤック体験をしたい」「子どもも一緒に歩けるような熊野古道を案内して欲しいのですが、いつがいいですか?」など、お客がリクエストする形での利用が多い。あまりPRもしていないが、クチコミで人気が集まり、リピーター率が高いことが特徴的だ。今回もそんな小山ハウスを気に入った人が、別の人を誘って・・・という形で行なわれた。 「今回のコースは」とガイドの森田氏が広げたのは、なんと海図。水深や灯台の位置・その灯台の明かりの方向などが示されたもので、道路はほとんど記載されていない。「海に出るんだ〜」という気分が一気に高まる。着替えや心の準備ができたら、カヤックなどの道具を全員で浜に運び込む。 浜で準備体操をしたら、パドル扱いの練習。運び込んだ道具類やその調節方法の説明を受けて練習したら、さっそく海へ漕ぎ出す。波が穏やかなところで、浜での練習を実践。参加者が扱いに慣れた頃を見計らって、ツアーに出発した。波消しブロックの外側に出ると当然練習時より波があり、カヤックが大きく上下に揺れる。しかし横から波を受けるのではなく、前から来る波に乗っている状態なので(そのように説明した上で誘導してくれるので)、今日初めてカヤックに乗った参加者も沈(転覆)することなく大海原に漕ぎ出すことができる。また、川で使用するもの比べて、海で使用するシーカヤックはキールと呼ばれる船底の出っ張りで波を切って直進するのにふさわしく、細長い構造になっていることも説明を受けたが、経験のない自分の腕でも前に漕ぐことができていることから実感できる。しかもただ漕ぐだけではない。世界遺産登録された熊野古道「猪ノ鼻水平道」の真下を、洞窟探検していくのだ。先日の台風で雨が降ったおかげで細い自然の滝がいくつもできており、岩肌を濡らしている。洞窟にも流れ落ちており、交替で中に入ってシャワーのようにその水を浴びた。 洞窟探検が終わり、尾鷲側に回り込んで海から尾鷲の町を見る。今までにも乗せてもらった船の上からや、山や道路など陸上の高い位置から海越しに尾鷲の町を見たことは何度もあるが、自分の力でカーブを漕ぎきった所に現れた景色は格別だ。「ここを漕ぎきると尾鷲の町が見えますよ」と説明されていても、実際に目にすると「尾鷲だ。本当に尾鷲だ。」と繰り返してしまうほど感激した。 お昼は浜に上陸。参加者は海で遊び、その間にスタッフがお昼ご飯を用意。メニューは冷たいお茶とサラダうどん♪デザートに杏仁豆腐も。愛知県からの参加者に話を聞くと『せっかく休みを取って遠くから来たんだから、数日こちらに滞在して川も海も満喫予定。いつも「小山ハウス」で元気になって(愛知に)帰る。」とのこと。木陰で食事をしてボーっとしていたら少し身体が冷えてきた。食事で使った食器類を片付ける間に、すかさずスタッフが温かいコーヒーやお茶を用意してくれた。至れり尽くせりだ。お腹も気持ちも満たされて、再び海に。帰りは陸から離れて正真正銘、大海原をゆったりと進む。漕ぐ手を止めて波に漂い、ゆったりと景色を楽しむ。午前に通った洞窟や滝を、山の緑・空の青・緑がかった海の碧(あお)とともに、雄大な風景として眺めることができた。 基礎練習したところまで戻ったが、陸に上がるのが惜しい。今回の1日体験だけで、今日初めてカヤックに乗った人が、午前とは別人のようにスイスイとみずすましの様にカヤックを操れるようになっている。少し余韻を楽しんで上陸。ツアーは無事に終了した。 小山ハウスは、ごく普通の民家を一部リフォームしており、新しく清潔で気持ちの良いトイレやお風呂が利用できることが嬉しい。ツアー終了後に、みんなで片付けをして交替でお風呂に入り、汗や潮を流す。参加者はすっかり馴染みになり、懐かしい田舎に帰って旧友たちと休日を過ごした気分になる。いよいよ名残惜しいが、きれいに並べて干した道具類を確認して、「またね。」と解散した。 (写真の一部は小山ハウス提供)
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