6月18日(土)、東紀州活性化大学院の第8回勉強会が実施された。 午前中は6回目の現地調査で、七里御浜海岸の侵食状況について、熊野市・御浜町・紀宝町の3箇所を比較調査した。 この美しい海岸は昔から景勝地として有名で、熊野古道「浜街道」として世界遺産登録もされた。しかし地元ではしきりに「浜が狭くなった」と言われている。今回の現地調査では、この調査研究に取り組んでいる「熊野の自然を考える会」などの資料を参照しながら、同地点の様子観察と浜巾測定を実施した。御浜町向井口地点では浜巾測定開始の1987年からほぼ同じ巾を保っているが、熊野市新出町地点で約80%、紀宝町井田漁協下地点では55%に減少しており、台風や高波で防潮堤が崩壊したり、防風林の植物が多数流出したりしている。昨秋の台風では国道42号線近くまで荒波が打ち寄せるなど、地域住民の生活をおびやかすまでになっており、懸命の保全活動が続けられている。 一見うっとりするほど美しく広がる青い海・砂利の浜、白い波のこの浜が、これほどまでに「浜やせ」が進んでしまっているとは・・・。浜に建設された構造物の先端は、海中で妨波用のテトラポットに守られている。歩いて行けた岩礁が、大潮でも渡ることができない島になっている。そこかしこで話には聞いていたが、データとともに実際の浜を目の当たりにして愕然とした。原因はダム・港の建設、温暖化による海面上昇、潮流変化、長く伸びた根で砂の流出を防ぐ植物の減少など、複数が考えられる。 今月初めから海岸ではウミガメの上陸や産卵も確認された。しかし、上陸し産卵場所を求めて浜を歩きまわったが、産卵に適した場所ではなかったので別の場所に移動するべく海に帰ってしまったカメもある。こちらの方が大多数なのだ。 今年度のテーマは「東紀州に残る古きよきもの〜その発見と保全〜」。何のために残したいのか・どのような形で残したいのか・何をどのようにすれば・・・。午後からは、侵食防止事業に詳しい土木関係の職に就くメンバーからの情報も交えて意見交換をした。 今回のテーマに関しては、9月17・18日に紀南県民局において、大きなフォーラムがあるとのことで、メンバーもできる限り参加するなどして、この問題について継続して取り組むこととした。 熊野の自然を考える会 東紀州活性化協議会
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熊野地点。カメの足跡はあるが産卵の形跡はナシ。植物もほとんど確認できず。 |
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熊野地点。以前はなかった階段。侵食・浜やせが進んで高さも減少したため後からつけられた。 |
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御浜地点。植物によって砂の流出が食い止められている。昔はもっとたくさんの植物が生えていた。 |
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紀宝地点。防波堤のすぐそばまでテトラポットが迫っている。今は人口海岸となっている。 |
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