9月25日(火)から9月30日(日)まで熊野市文化交流センターで企画展「熊野における紀州藩の海防策」の展示および調査結果報告展がおこなわれました。 これは紀州藩の海防に関する資料や遺跡、熊野市歴史民俗資料館所蔵品などから、海防策の足跡をたどった企画展で期間中、上方と江戸を結ぶ沿岸航路沿いに位置する遠見番所の地図や番所日記、各国の船の接近を見分けるための絵図など60点を展示されました。 熊野市文化財専門委員の向井弘晏さんからの説明では、この地域のいろんな文献から調べ、それを時系列に並べていく作業などで約6ヶ月間費やされた調査に基づいた資料は、当時の外国船への警戒を知ることができたり、遠見番所に勤めていた人たちは武士であり、片手間に行われていたものではなく、重要な国防の任務を得ていたことが伺い知れました。 また、海岸線につづく狼煙場については、記録を調べる限り、一度も煙を上げて何かを知らせたことはなかったこともわかってきており、早々に使われなくなったようです。 向井弘晏さんのお話でも、雨の日はもちろん、曇りの日や風のある日は煙はほとんど見えなかっただろうし、いつ上がるかもしれない煙を見逃すこともあったのでは。また狼煙場を調べたところ燃やした後や炭のようなものも出てこなかったそうです。 とても時間のかかる伝達手段しかない時に、出来る限りの手法を駆使して外国から守ろうとした1800年ごろの紀州藩の人たちが見えてくるような企画展でした。
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