6月4日(土)夕方より、海山町船津地区・上里地区の伝統行事「田の虫おくり」が行なわれました。作物を食い荒らす夏の虫が出てくるようになった頃、夕暮れ時に松明(たいまつ)を持って田畑の周囲を歩き、明かりにつられて飛んできた虫をその炎で焼き払うというもので、まさに「飛んで火に入る夏の虫」です。どの農村でも行なわれていましたが、時代とともに徐々に消えてしまいました。船津・上里地区ではPTAや子ども会が中心となって復活させ、最近では夏の訪れを告げる恒例の行事となりました。 船津小学校と上里小学校に集まった地域の子どもたちは、火を使うことから「人に向けない・間隔をとって歩く・あぜ道の草などは燃やさない」などの注意を先生から受け、地区の役員たちが用意した竹製の松明を手に、少々興奮気味に学校を出発しました。 それぞれの学校を出発し、ホラ貝や太鼓の音に合わせて「田の虫出てけ(出て行け)〜」「田の虫おくりじゃ〜」と言いながら田んぼのあぜ道を歩きます。まだ明るい時間に出発したのですが、歩くうちにすっかり日は暮れて辺りは真っ暗です。田んぼに揺らめく長蛇の炎の列は、飛び交うホタルのように幻想的です。2つの学校から出発した一行は中里地区で合流して、今度は虫供養に向かいます。 井桁に組まれた薪の中に全員が松明をくべ、修禅寺住職が焼き払われた虫たちを供養するためにお経を唱え始めると、炎が大きく上がりました。松明の竹が爆(は)ぜて時々「パチッ」「バチッ」という音とともに、一層大きな炎が舞い上がります。目を閉じ、手を合わせる人もありました。虫たちの供養を終え、豊作を願って、虫おくり行事は無事に終了しました。
>>関連リンク
動画のURL:http://kumadoco.net/movie/detail.cgi?no=102
|
まだ明るいうちに上里小学校を出発し、裏手の田んぼのあぜ道を歩きます |
|
だんだん日が暮れてきて、松明の炎も子どもたちの気分も盛り上がってきました |
|
子どもたちは最後にお菓子とジュースをもらって帰ります |
|
|