昨年の4月に書一筋の人生を終えられた中道春陽先生の遺墨展が熊野市文化交流センター 交流ホール、ホワイエ、クマノミチ、研修室1を使って3月1日(金)〜3月3日(日)(最終日 午後4時30分まで)まで開催され、大勢の人が中道先生を偲び訪れていました。 自然が大好き、自分の生涯の師は今井凌雪先生と熊野の自然であったことと晩年の先生のつぶやきでした。 今回の作品展では、熊野への想いをこめて製作した71点の書と陶器43点が展示されました。 また門下生による会員20名が41点を出品した「陽心展」も同時に開催されました。 この地域の中に、中道春陽先生の書はまるで自然にあるもののように存在しています。 花の窟・本居宣長歌碑、三重県木本高等学校正門の文字、市木一里塚、御浜町役場、御浜町中央公民館の文字に熊野古道、熊野大花火の文字なども先生のもので、知らず知らずのうちに先生の書に触れています。 今回の展示会では大きな作品も多く、そばに寄って見ていると文字が動き出している錯覚にとらわれます。 筆者は、2010年の作品展の時に少しお話を伺うことができました。その時聞かせたいただいたお話を稚拙な文章ながら伝えようとこう書いています。 「中道先生の書の原点は、自然を元にして考え、既成の形にとらわれず、感動を与える動き、活きている線、無理のない動きで逃げたり追いかけたりしながら喧嘩しないように、繊細さや大胆な動き、空間をうまく使うことにより、自然と一体となった心地よい作品づくりにあります。 無理のない調和された動きを感じさせる書は、私たちの心を打ちます。」 と記していました。 他の誰のものでもない、そこには今も驚きを伴う書があり、親しみを持って近づいて来る書でもあるように思えました。 訪れた方は中道先生の書を眺めながら、心に刻んでいました。
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