平成23年7月9日(土)熊野市紀和町丸山千枚田で「虫おくり」の伝統行事がおこなわれました。 梅雨明けの熊野はとても良いお天気に恵まれ、日中の気温は35度まで上がり、会場に着いた午後6時頃は、まだ夕日が差し込み熱気が残っていました。 今年は、今までにないほどのアマチュアカメラマンの数、報道陣の数、参加者が訪れていました。 午後6時からは元宝塚ジェンヌ夢輝のあさんのミニコンサートが開かれ、千枚田に歌声が響いていました。 コンサートが終わると、お昼から紀和町のトロッコや熊野古道通り峠ツアーに参加した人たちも虫おくりに参加するために、丸山神社のスタート地点に集合し、ロウソクの入った提灯を手渡され、虫おくりのかけ声の練習をして、いよいよスタート。 提灯の灯りも今までは、蛍光ライトを入れていたのですが、今年からロウソクの火に変わっていました。しかし提灯の小さなものは提灯下のプラスチックが熱のためとけだし急遽中止に、というハプニングもありつつ、午後7時過ぎに「虫おくり殿のお通りだい」のかけ声と太鼓、鐘の音を響かせながら総勢500人ほどの行列が千枚田の畦を歩きました。 今年も、丸山千枚田の畦には、約1,300個の松明が灯され、丸山千枚田を幻想的な光が包みました。 ゆらゆらと揺れる炎の灯りが、夏の丸山千枚田を美しく染め上げ、その風景を撮影しようと千枚田を見る良いポイントには三脚の行列ができていました。 お札を田んぼに立てて、1周すると虫おくりの行事は終了です。 終了後、2つの北山砲が炸裂し、千枚田を明るく染め上げました。 そして夢輝のあさんが参加者と一緒に「見上げてごらん夜の星」を合唱してイベントが終了しました。 熊野古道が世界遺産に登録した1年を祝って平成16年に復活してから、虫おくりの行事、その後毎年おこなわれ、田んぼの畦に灯る松明が増え、今のようになってきました。 ◆関連リンク【丸山千枚田 虫おくりの歩み】 2010年7月10日 「丸山千枚田」の虫送り 2009年7月11日 「丸山千枚田」の虫送り 2008年7月12日 「丸山千枚田」の虫送り 2007年7月1日 「丸山千枚田」の虫送り 2006年7月1日 「丸山千枚田」の虫送り ■虫おくりとは? 慶長6年(1601)には2240枚あったといわれている丸山千枚田は、平成5年当時530枚程度にまで減っていたが、この貴重な資源を保護し後世に伝えていくことが極めて重要と考え、市では"日本の農耕文化"として位置づけ、平成5年より復元を開始。 現在1340枚を保全している。 その農耕文化の一つとして、「虫おくり」があり、昭和28年まで実際に丸山地区で行われていた行事で、現在の稲作では害虫駆除にあたるもの。その当時農薬等もなく、なすすべがなかったことから、地域の子供たちが集まり、お寺からお札をもらって、松明と太鼓、鐘などを手に千枚田の中を練り歩き、火と音で害虫を追払うもの。この行事には、ひと粒でも多くのお米を収穫したいという素朴な農民の祈りがこめられている。 平成16年に熊野古道が世界遺産となったことから、それを記念して平成16年から復活した。地元の小学生や丸山区民、さらに千枚田オーナーや一般の方々が丸山千枚田を練り歩き、「虫おくり殿のお通りだい」の掛け声とともに千枚田の豊作を願うものである。 平成21年には、棚田に1000本、平成22年には1340本の松明を灯し、幻想的な景観の中で虫おくり行事が行われるようになり、丸山千枚田の夏の風物詩となっている。 主催:丸山千枚田の虫おくり実行委員会 後援:丸山区・丸山千枚田保存会・(財)紀和町ふるさと公社・熊野市
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