脚本を演出・劇作家の大谷深一氏が担当した「紀の川良子と市民劇団」による新作、創作郷土劇・寺谷哀話「油屋おこん」が、平成15年の熊野比丘尼伝説、平成18年の花の窟(いわや)お綱かけ神事秘話に続く第3弾として12月7日の昼と夜の二回、ともに満員御礼の中熊野市民会館で公演されました。 同劇団は、に熊野古道世界遺産登録推進事業の関連で、第1作を演じる為に一般募集で約30名が集まり平成15年5月に結成し東紀州に伝わる郷土の伝承や伝説の舞台化に取り組まれています。 油屋おこんは、歌舞伎や人形浄瑠璃の(伊勢音頭恋寝刃・いせおんどこいのねたば)をはじめとして、森光子さん主演による東宝宝塚が上演した「伊勢音頭恋寝刃」(脚本・小幡欣治氏)や宮本信子さん主演による舞台・京都南座錦秋特別公演「油屋おこん」(脚本・小幡欣治氏 演出・本間忠良氏)も演じられて非常に有名ですが今回は、主人公おこんが、地元の熊野市五郷町寺谷に生まれだと言う事もあり、そのおこんの故郷にスポットを当て伝承される史実を詳しく調べ、干ばつ不作の中でも決められた年貢を納めるため、致し方なく田畑を売るか娘を売るかの苦渋の決断や、おこんを取り巻く村人達の葛藤と数奇な運命を涙と感動で表現。又、役者の顔ほどの大きさの"めはり寿司"も登場。場内に笑いの渦が包まれる中、江戸時代の厳しい農村の悲哀を市民劇団とはいえ皆さん見事に演じました。 引き続き、紀の川良子の歌謡ショーも行われ、途中では演劇の冒頭、甚句「おこんくどき」の歌と踊りを披露した五郷おこん踊り社中のみなさんをはじめ会場からも飛び入りの観衆とともに「〜年中 さんま寿し〜食べちゃってごめんね音頭」を舞台上で輪となり歌に合わせて踊りました。 フィナーレでは、演技者一同勢揃いし、主題歌「油屋おこん」を熱唱。郷土伝承を昼夜二回とも延1600名の観衆の心に響かせ会場全体拍手喝さいの中、幕を閉じました。 『油屋騒動』 江戸の吉原、京都の島原と並んで三大遊郭の一つといわれた伊勢の古市で、寛政8年(1796 年)5月に起きた刃傷事件をもとに当時の劇作家 近松徳三か書き下ろした世話物(当時の現代劇)で一躍有名なりました。油屋は備前屋、杉本屋 、千束屋などと並び、当時は特に有名な遊郭で、事件以降、伊勢参りの参拝客がおこん見たさに詰め掛け油屋は大繁盛したと言われています。 創作郷土劇・寺谷哀話「油屋おこん」(一幕六場) 脚本・演出 大谷深一氏 制作 紀の川音楽事務所 後援 熊野市教育委員会 熊野市観光協会 熊野市観光公社 熊野市文化協会 中日新聞社 三重テレビ放送 三重FM放送
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15年ぶりに寺谷に帰り、母・いととの感動の再会シーン |
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