● 感 想
「第一部 伊勢から熊野へ」:東紀州地域の熊野古道 伊勢路や伊勢路沿いの代表的なスポットの紹介。
「第二部 熊野の文学と伝記・民話」:東紀州地域に伝わる民話と、それらが生まれてくる背景となった風土について紹介。
「第三部 熊野の暮らし」:東紀州地域の祭りや名所の紹介。第二部と同様、単なる観光案内ではなく背景にある風土や地域性についても紹介。
熊野古道が世界遺産に登録された理由として、「文化的景観」がある。石畳道が立派だから世界遺産になったのではなく、熊野三山へと続く石畳道を守ってきた地域、その道を歩く人々を支えてきた地域、その地域の暮らしを支えてきた文化があったからこそ、熊野古道は世界遺産になった。だから熊野古道を歩くときには、ただ単に踏破するだけではなく、熊野古道の背景にある地域や文化を感じながら歩くことが大切だと思う。この本は、そういった背景にあるものを手軽に教えてくれる。熊野古道の単なる道案内は歩いた人なら誰でも書くことができるけれど、熊野学研究会の運営委員長などとして地域文化を研究してきた小倉肇先生ならではの、オススメの一冊。
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